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「公務員ユーチューバー」のニュースを見て地方公務員OBが一考察

 こんにちは。およちゃんです。
 今日は「公務員ユーチューバー」のニュース記事を見て感じたこと(公務員のSNS活用について)を記事にしていきたいと思います。

news.yahoo.co.jp

 

 

1 ユーチューバー(YouTuber)とは

YouTuber(ユーチューバー)とは、動画共有サイトYouTube上で自主制作の動画作品を継続的に公開しつつ、YouTube社が定める提携プログラムに従い、公開動画に付帯された広告収益による配当を得ている個人および組織。

ウィキペディア「YouTuber」(https://ja.wikipedia.org/wiki/YouTuber

 2019年の学研教育総合研究所「小学生白書」によると、将来就きたい職業男子第1位が『YouTuber』となっているほど、YouTuberは現代の小学生が最も憧れる職業です。YouTuberというと、購入品を紹介したり、何かに挑戦したり、はたまた少し無茶苦茶なことをしたりと、活動の幅は様々です。

 YouTuberは広告収入を得て生活しています。しかしながら、ドイツのとある教授の調査によると、「広告収入で生計を立てることを企てるユーチューバーの96.5%が平均的なアメリカの貧困ラインを下回る収入しか得られない」とのことです。また、最近は広告収入を得るための条件が厳格化されており、2018年2月からは過去12か月間の総再生時間が4,000時間以上、かつチャンネル登録者数が1,000人以上、と厳しい条件に引き上げられました。YouTuberとして食べていくためには、高いハードルが立ちはだかっていることが、このことからよく分かります。

2 地方公務員のSNS活用

 YouTuberの広告収入に関連して、地方公務員の副業についてお話ししたいと思います。

営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員については、この限りでない。

地方公務員法 第38条第1項(一部抜粋)

 地方公務員の副業については、上の地方公務員法のとおり、許可が無い限り、いかなる事業、事務に従事してはならないことになっています。「禁止」ではなく、「制限」であるので、仮にYouTubeの活動であっても許可さえあれば、収入を得て活動することは可能ですが、原則収入無しで活動を行っていくことになります。

 最近は、地方公共団体で職員の副業を認める動きがあり、神戸市や奈良県生駒市などで、地域貢献活動に係る副業(NPO法人スポーツ少年団での活動など報酬を得るもの)が解禁されつつあります。このように公務員の副業については、徐々に規制が緩和されつつあり、公務員個人のスキルアップや広い視野を持つための活動が後押しされつつあります。

 公務員でもYouTubeのようなSNSを活用して、自主的に地域の情報や業務に関係した情報を発信する動きは広がっています。しかし、基本的に収入を得て活動することはしていません(一部除く)。YouTubeは視覚的にも聴覚的にも情報が入ってきますので、自治体の情報発信ツールとして、非常に有効なツールではないかと私は考えています。

3 発信のあり方

  本日のタイトルにある「公務員ユーチューバー」の活動については、私は大賛成です。活用できるSNSはどんどん活用すればよいと思います。情報発信をするうえで難しいのは、

  • いかに発信した情報を見てもらえるか
  • 発信した情報を面白いと思ってもらえるか
  • 情報を拡散してもらえるか

だと思います。いずれも大事です。活用できるSNSはどんどん活用すればよい、とさっき言いましたが、発信する内容によってSNSを使い分けることは大事だと考えます。

 地方公務員(情報発信側)においては、地域の魅力をいかに引き出せるか、また、業務をいかに面白く(興味深く)見せることができるか、表現力や見せ方のノウハウが必要です。こうしたノウハウは、公務員の普段の業務の中では会得することは難しく、前例踏襲が基本となる公務員の業務では、YouTubeの活動については過去に事例が無いので、自主的にノウハウを勉強しないと、いわゆる「素人の作品」となりがちです。

 また、YouTubeのようなインターネットを通じた動画配信は、デジタルデバイド情報格差問題もあり、インターネットに詳しくない高齢者やその他の方に、情報を受け取ってもらえない可能性があります。都道府県民や市区町村民全体に広報をしたいものである場合には、情報発信手段を限定しない方が得策です。

 記事の最初でご紹介したニュースでは、YouTubeでは田舎暮らしを希望する人たちに役立つ知識などを紹介したい、ということで、どちらかというと高齢者向けというよりは、若手・中堅向けの情報発信を考えておられるようなので、YouTubeという手段はアリなのではないかと思います。

 最近は「Clubhouse」というツールが、日本国内のアーリーアダプターに広がってきていますが、このツールがどの程度普及するかは不明です。世間にとって、もっと一般的なものとなれば、公務員の情報発信のツールとして活用される日はそう遠くないのかもしれません。YouTubeでの情報発信にも期待を寄せていますが、Clubhouseを使った情報発信をどこが先駆けて行い、どんな内容を発信するのか、非常にワクワクしながら待っております。

4 さいごに

 今回は、公務員のSNS活用について、思ったことを書いてみました。SNSは単なる情報発信ツールというだけではなく、使い方によってはその人を破滅(炎上)させるツールともなりかねないので、使い方には注意が必要かと思います。各地方公共団体がこれからどんな情報発信をしていくのか、期待したいと思います。