公務員OBの業界事典

公務員OBが公務員の制度・話題や、思ったことなどを気ままに更新しているブログです。

★地方公務員OBが語る!!★出世する所属・部署はどこ?

 こんにちは、およちゃんです。
 今回は、地方公務員で出世が期待される部署について、お話ししたいと思います。今回お話しするのは、一般行政職のお話になりますので、技術職(土木・農業など)の方についてはまた別になりますので、予めご了承ください。

 

1 地方公務員の部署について

  都道府県庁、市役所、町役場には様々な部署が存在しています。部署は大まかに分類すると以下のとおりになります。※あくまで参考です。

  • 総務系
  • 人事系
  • 財政系
  • 企画調整系
  • 税務系
  • 広報系
  • 農政系
  • 土木・建設系
  • 産業系
  • 環境系
  • 健康福祉系
  • 教育系
  • 各種委員会 など

 各都道府県や市区町村で力を入れている事業(スポーツなど)があれば、それらを推進する部署が設置されることが多いです。

 地方公共団体の組織はずっと同じではなく、毎年、微妙に名前が変わったり、統廃合されたり、流動的です。都道府県民の方や、市区町村民の方には、同じ名前でずっと統一しておく方が、名前を覚えてもらいやすいような気がしなくもないですが、大人の事情で組織は毎年生まれ変わっているようです。

2 結局どの部署が出世するの?

  さて、本題ですが、どの部署がいわゆる出世コースなのか。それぞれの都道府県庁や市役所、町役場等でまちまちで、あくまで私見ですが、おおよそ、財政系、人事系、企画調整系、特別プロジェクト系、各部局の幹事課、が出世コースだと思われます。

 今あげた部署以外にもあるでしょう?っと思われる方もあるかもしれませんが、この記事内ではご了承ください。

3 なんでなの?

  順番に私が感じる理由を述べたいと思います。

(1)財政系

 公務員の中では、一番忙しく、調整能力や処理能力が必要で、庁内のスーパーエリートがこの部署に配属される傾向があります。財政系の部署に行く人は、配属前の部署で予算関係の事務を経験していることが多く、いきなり財政担当となる人は少ないように思います。

 予算査定で過去の予算資料と次年度の予算資料とにらめっこしたり、各部署とは厳しく接しなければならなかったり、業務の性質上、ミスが許されません。また、財政系の部署では議会事務局や各会派等との議案調整などの各種調整をしている場合もあります。そうなると、本当に忙しい部署ですよね。

 財政系に配属されると、今まで温厚な人であっても、人が変わったように性格が180°変わります。忙しいからでしょうか…忙しいと人の性格まで歪めてしまうのだなあと思いますね…。

(2)人事系

 人事系の部署では、庁内組織の調整や、人事評価の取りまとめ、人員配置が主な仕事になってきます。また、場合によっては、職員の給与に関する条例や規則を司っている場合もあります。

 人事系の部署についても、評価が高い人が配属される傾向にあり、機密事項や個人のプライバシーに関わる情報を持っているので、情報の取扱いや漏洩には細心の注意が必要な部署でもあります。

 人事系の部署は、年明けあたりが忙しく、年度末の人事異動に備えて、人員配置の作業を集中して実施する傾向があるようです。人事系の部署は、各部署の要望や現状を把握して、適正な人員を配置する必要があることから、こちらもミスが許されない部署となります。

(3)企画調整系

 役所には縦割りの風潮がいまだに根強く残っていますが、それらにとらわれず、庁内の各部署の調整役となっているのがこの企画調整系の部署です。企画調整系の部署では、各部署の懸案事項や主要な取組、庁内全体で取り組んでいかなければならないことの総括的な業務を行います。

 つまり、この部署に配属されたからには、庁内の各部署が抱えている先述の懸案事項や主要な取組を理解したうえで、業務を進めていかなければならないので、各部署の事業を担当するよりも、業務範囲が広範にわたります。この点で、企画調整系部署は非常に業務の難易度が高く、出世が期待できるエリート達が部署に集結します。

 世界レベルの話題でいうと、SDGsの達成に向けた総括事務は企画調整系の部署が取りまとめていますし、庁内の長期の基本方針および実施計画の策定、庁内の幹部会議や首長が出席する会議、ほかにも全国の首長が集まる会議の段取りなどについても、この企画調整系の部署が取りまとめている場合が多いです。企画調整系の部署は個別具体的な事業というよりは、総括的な事業となります。

(4)特別プロジェクト系

 国体準備・運営、官民協働プラットフォームなど、特定の目的のために立ち上げられた新規部署については、出世コースだと言えるでしょう。

 公務員の業務については、前例踏襲的な業務が多く、何かをしようとしたときに、前例を参考に事業を進めることが多いですが、こうした特定プロジェクト系の部署では前例がない場合が多く、自分たちで事業を創り上げていく(クリエイティブな)事業が多いです。そのため、頭が柔らかい人、協調性のある人、事務処理能力が高い人が配属される傾向があり、やはりエリートの集まりとなる傾向にあります。

 特定プロジェクト系の部署は、ルーティンワークが好きな人には面白くない部署かもしれませんが、自分でどんどん仕事を進めるのが好きな人は適任の部署かと思います。最初はどのように進めるか、誰とやっていくのか、スケジュールなど、序盤は課題が山積しているので、難易度が高くしんどい部署ですが、一度形さえ固まれば、あとはスムーズに事業が進んでいくのではないかと思います。

(5)各部局の幹事課

 企画調整系の部署とまではいきませんが、各部署の取りまとめ的な業務を担う部署です。課の上に「部」が設置されている都道府県庁などにいわゆる「幹事課」が存在していて、町役場には「部」が無いところもあります。こちらも取りまとめ的業務や各課横断的な業務を担っていますので、各課の課題や人事、組織の目標などを把握しておく必要がありますので、比較的難易度が高い部署と言えます。

 幹事課についても、エリートが集まる傾向にあります。

4 出世する部署へ配属されるには

  何としても出世したい!という方ですが、出世されている方の行動や傾向を見てみると以下の通りかと思います。

  • 事務処理はできて当然
  • 雑談が上手
  • ON/OFFの切り替えが上手い
  • 横のつながりが広い

 この中でも私は2番目の「雑談が上手」を推したいと思います。地方公務員で上に上り詰める人は、会議や協議で事業等を説明するのがほかの人と比べて断然うまいです。話し上手の人は、頭の回転も早い傾向にあるので、対外的な説明に長けています。コミュニケーション能力の有無だと思います。

 階級が上になり、いわゆる管理職になると、庁外の偉い方と接触する機会もあるでしょうし、庁内の各部署と事業等の調整をするときに説明能力等が求められるでしょう。また、議会の各種委員会等で議員から説明を求められることもあります。階級が上がると、断然説明能力が求められるようになります。

 職場の雰囲気的に、この人と一緒に働きたいなと思える楽しい人、つまり雑談ができる人であることも大事です(ずっと雑談しているのは当然問題ですが)。こうしたその人の雰囲気が配属先や採用時に重視されることが多いことから、雑談力は非常に大事だと考えています。

 今から、上手に話すことが出来るようになるために何が出来るかですが、場数を踏むことが大事です。講演会等の機会があるならば、その際に話す練習が出来ますし、大勢の人前でだんだん緊張しなくなるからです。場数を踏んで経験値を積むことで、今後の自分のためになるのではないでしょうか。

 職場でそういう機会がなかなか無い、という方については、公務員有志で様々な取り組みをされている場合もありますので、そういったコミュニティに入っていくのも一つの手だと思います。

5 さいごに

  出世する部署について記事にしてみましたが、あくまで私見です。今後、公務員を目指される方、いま公務員として勤務されている方の参考となれば幸いです。