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最近多い?公務員の不祥事(不適切な案件)について思うことを書いてみた

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 こんにちは、およちゃんです。
 今日は、公務員の不祥事について記事にしてみたいと思います。ちなみに、私は不祥事は起こしていないのであらかじめお断りしておきます。

1 公務員の不祥事について

 公務員の不祥事はメディアに取り上げられがちです。「公務員 不祥事」や「公務員 懲戒」などの文言で検索すると、大体毎日何かしらの不祥事が全国のどこかで発生しています。公務員の不祥事ニュースはメディアの大好物(?)です。民間企業であれば、痴漢で捕まっても大きなニュースになることはないでしょう。

 公務員の不祥事がらみのニュースで多いのは、性的犯罪(痴漢、盗撮など)や談合関係が多いように感じます。逆に、殺人や強盗などの凶悪犯罪で逮捕されるケースは少ないように思います。

 公務員は一定の権限がありますし、お金の話も常に付きまといます。最近は首相の長男と国家公務員の不適切な会合が明るみになりました。公務員は全体の奉仕者として国民と模範となる行動が求められていることから、国家公務員だけでなく、地方公務員も、庁内でコンプライアンスの研修があり、法令順守の取組を最近は強化している傾向があります。

2 公務員の賠償責任

 仮に地方公務員が不祥事を起こして損害賠償請求を受けた場合どうなってしまうのでしょうか。

会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失により、その保管に係る現金、有価証券、物品若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。

地方自治法第243条の2の2 一部抜粋

 地方自治法には上のような規定がありますので、故意または重過失で物品等を損傷等させてしまうと、職員本人が損害賠償責任を負います。また、公務員としての品位を傷つけるような行為がある場合・・・

職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

地方公務員法第33条

 これは、地方公務員法の「信用失墜行為の禁止」の条項です。不名誉な行為を行った場合は、この条項をもとに庁内で処分等が行われることがあります。また、禁固以上の刑を受けた場合は、以下に記載する地方公務員法の欠格条項に該当します。

次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

地方公務員法第16条 一部抜粋

 

3 庁内での社会的制裁

 地方公共団体の職場は狭い社会のため、噂話はとても広まりやすいです。不祥事が起きた場合、隣の部署の人間だけでなく、全庁的にうわさが広がります。公務員はテレビ等のニュースを見ている人が多く、かつメディアも公務員の不祥事はよくニュースにするので、これらは庁内で不祥事が広く知れ渡る理由の一つです。

 仮にAさんが不祥事を起こし、停職期間を終えて職場復帰してきた場合、周りの目が冷たく、Aさんは同じ職場にはいるのは辛いでしょうし、制裁的人事異動で地方機関などへ左遷されたとしても、全庁的にニュース等は知れ渡っているので、居心地は最悪でしょう。

 また、それでも何年かそうした目から耐えていて、不祥事を知らない新規採用職員が入庁してきても、ネットを検索すれば簡単にAさんのニュースは出てくるでしょうから、定年退職するまでずっと「不祥事を起こした人間」という十字架を背負って仕事をしなければならなくなります。

4 不祥事を起こした人の行方

 不祥事を起こした人は最終的にどうなるか。2パターンあると考えられます。

  1. 左遷部署に異動し、定年まで過ごす
  2. 依願退職する

 部署異動は先に述べた通りですが、依願退職するパターンもあり得ます。職場にいることが辛くなった人にあるパターンです。懲戒免職とならない限りは、退職金が出ますので、退職金をもらって退職することになります。地方公務員で不祥事を起こして退職した方のその後を知る者はいるとかいないとか…。

 残留したとしても、当然、出世コースなんてものはありません。もうその道からは外れてしまっていますし、昇進もありません。先へ進もうにも後に引こうにもどうしようもない状態です。ただ、公務員の良いところ(?)は懲戒免職とならない限り、「クビ」「リストラ」が無いことです。犯罪を犯しても、懲戒免職にならない限りは働くことができます。良い点と捉えるか、悪い点と捉えるかはあなた次第です。

5 私が思うこと

 そんな私は公務員の不祥事のニュースを見ると、すごく残念に思います。○○市役所の人間が一人不祥事を起こしただけで、○○市役所の人間はみんな不誠実な人間だ!なんて思われかねない報道が為されます。そのせいで他の関係ない部署の人たちまで同じレッテルを貼られてしまうことが本当に残念です。

 市役所の中ではみんな一生懸命働いています。庁外の人は、市役所の中で何の仕事をやっているのかよく分からない、市民のためになる仕事をしていない、という人もおられます。しかし、本当に市民のためにならない仕事をしている人もいるのかもしれませんが、大半は真面目にしっかり業務をしていますし、年々削られていく少ない人員の中で、必死に働いています。そういう人たちをメディアは取り上げてほしいのですが、公務員で頑張っている人たちについての報道はほとんどされないのが実情です。なので、公務員は不祥事ばっかりだな、とか言われてしまうのです。

 どうすれば良いか。不祥事や不適切な案件を減らすことは言うまでもありませんが、もっと頑張っている人がメディア露出しなければならないと思います。最近はYouTube(ブログも然り)など、自分から情報発信できるツールがたくさん出来てきていますので、そうしたツールを有効に使っていくことが、日本国民の「公務員」に対するイメージ改善につながるカギだと考えています。

6 さいごに

 あなたが不祥事を起こした場合、あなたなら職場に居続けますか?退職して新しい職を探しますか?年齢が上になればなるほど難しい判断になりますよね。企業、自営業など問わず、皆さんもくれぐれも不祥事を起こさないよう、真面目に生きていきましょうね。