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令和3年度総務省関係予算の5つのポイントとは

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 こんにちは。およちゃんです。
 今回は私が興味のある、令和3年度総務省関連予算について、記事にしていきたいと思います。

1 予算編成の基本的な考え方

 令和3年の通常国会は1月18日に開会しました。通常国会では、次年度予算案や法律案などについて審議されます。年度末が近づく中、国会では各案件について熱心に議論されています。今回は「予算」にスポットを当ててみようと思います。

 令和3年度一般会計予算については、コロナ対策等に重点が置かれ、令和2年度当初の一般会計予算と比較して5.7%増(約5兆7千億円増)となっています。「令和3年度予算編成の基本方針」(令和2年12月8日閣議決定)において、令和3年度予算では、ポストコロナの新しい社会実現に向け、また、デジタル化を踏まえたEBPMの仕組み等を構築すること等を主な方針としています。令和2年度予算では、当初想定されていなかったコロナ対策等で多額の補正予算が組まれ、わが国でもワクチン接種が始まりましたが、今年度はどうなっていくでしょうか。ポストコロナの時代は来るのでしょうか。

 こうした基本方針がある中で、今回は私が注目している総務省の令和3年度予算の基本的な考え方に記載のある5つの項目について、順に見ていきたいと思います。

2 マイナンバーカード

  まずは「マイナンバーカード」についてです。マイナンバーカードについては、総務省は、令和4年度末までにほぼ全国民がマイナンバーカードを有していることを目指す、としています。マイナンバーカードの普及については、最近ではマイナポイント事業または地域独自のポイント付与事業がカードの普及に一役買いましたが、昨年12月中旬時点での交付枚数は、約3,000万枚とのことで、まだ国民の約23%しか保有していません。全国民の保有という目標にはまだまだ先は長いですが、令和3年度は更なる普及に向けて、事業が実施される模様です。

 ちなみに、マイナポイント事業(マイナンバーカード保有者に対するキャッシュレス決済サービスへのポイント付与事業)は令和3年3月末で終了する予定でしたが、令和3年9月末まで延長されることとなったようです。ただし、注意が必要なのは、まだ延長対象となる決済事業者が決まっていないとのことです。つまりは、どうしてもマイナポイント事業でポイント還元を受けたいという方は、3月末までにマイナポイントの申込を済ませ、ポイント付与も済ませてしまうのが無難です。

 マイナンバーカードについては、令和3年3月から病院等で健康保険証として利用ができるようになりますし、運転免許証もマイナンバーカードに統合しようかというような話も出てきています。ますます利便性が増しそうですね。今後のマイナンバーカード関連施策に期待です。

3 情報通信

  次に情報通信分野についてです。この項目では、量子暗号通信網の実現に向けた研究開発の推進や、ローカル5G*1の開発実証が事業として挙げられています。

 「ローカル5G」については、携帯会社等が一般向けに提供する「キャリア5G」とは違い、企業や自治体が、一部のエリアまたは建物・敷地内の限られた範囲で専用の5Gネットワークを構築し大容量ファイル等の転送等を行うものです。そもそも5Gの電波については、直進的で、範囲が狭く、基地のコストがかかる、という難点があることで知られていて、さらに昨年から続くコロナ禍の影響もあり、まだまだ街中には5Gの電波が使える場所が少ないのが現状です。

 キャリア5Gは携帯会社に導入を任せ、その他の企業等については、ローカル5Gの実証実験を踏まえ、低廉かつ容易に利用できる仕組みの構築を行うのが次年度事業の目標です。まだまだ発展途上の5G分野ですが、今後どのように日本を変えていくのか、こちらも行く末を期待したいと思います。

4 地方自治

  「マイナポータル」をご存じでしょうか。行政手続の検索やオンラインでの申請がワンストップでできたり、行政からのお知らせをマイナポータルを通じて受け取ることができる、国が運用する自分専用サイトです。マイナポータルの活用促進を進めて、行政のオンライン化を進めることが総務省一番の課題と言っても過言ではありませんが、次年度は転出入の手続きのオンライン化に重点が置かれ、転出届と転入予約が同時にできるシステムの構築が主要事業として挙げられています。

 このシステムの運用については、令和4年度中の実現を目指しており、次年度は法整備やシステム設計などが行われる予定です。これが実現すれば、引っ越しするときの役所関係の手続きがかなり楽になりますね。

 また、過疎地域の振興策として、過疎地域での人材育成やICT活用のために補助金を出したり、遊休地にテレワークのための施設等を整備する事業も展開されます。人口減少・高齢社会でこうした事業で過疎地域が盛り上がるとよいのですが、限られた予算の中で全国の過疎地域にいきわたらせるのは、至難の業ではないかと思います。

5 統計

 皆さんは「e-Stat」をご存じでしょうか。各省庁がまとめた統計データを閲覧することができる政府統計ポータルサイトです。このページでは、様々な統計データを閲覧することができます。このページは大変便利で、UI(ユーザーインターフェース)も今風です。

www.e-stat.go.jp

 次年度の総務省予算では、この「e-Stat」を便利に活用できるように、維持費等が予算に計上されています。こういうデータ無いかな、というものがあれば、まずはこのe-Statを活用してみてはいかがかなと思います。おすすめです。

6 消防

 消防関係予算では、車両や資機材の増強にあてる予算が計上されています。最近は災害が激甚化していることから、こうした資機材の増強は必須でしょう。内容を見てみると、消防艇や支援車の導入などが挙げられていて、こうしたものに予算が当てられ、全国の被災地へ「緊急消防援助隊」が飛んでいきます。

 今年はどういった災害が起きるか分かりません。昨年は九州や中部地方を中心に、豪雨災害(令和2年7月豪雨)が起きています。こうした予算は我々の暮らしに役立つ予算だと思っていますので、一国民として有難く思っています。

7 さいごに

 今回は令和3年度総務省予算の主たるものを挙げてみましたが、いかがでしたでしょうか。皆さんが興味のある事業はありましたでしょうか。他省庁の予算を見てみると、例えば国土交通省であれば、道路整備等の予算が計上されていますし、自分の興味のある予算資料を検索してみると面白いかもしれません。(財務省のホームページを検索してみてください。)

 予算に興味を持つと、国会や予算委員会での審議やそこでの政治家たちの答弁などにも興味が出てくるかもしれません。どのような形であれ、政治に興味を持ってもらって、自主的に政治参加してもらうことは良いことだと思います。ぜひ、自分から情報を取りに行くクセを付けてみてください。きっと面白いですよ。

*1:5G:第5世代移動通信システム